肩こりの原因となる病気には、内臓疾患や脳疾患だけでなく、顎関節症、咬合不全なども挙げられます。
本記事では、肩こりの原因となりやすい病気について取り上げ、その原因や解消方法など解説しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
肩こりの原因となりうる病気とは?
肩こりの多くは筋肉の緊張や姿勢などが原因ですが、なかには病気によって肩周辺に痛みや重苦しさを感じるケースがあります。
こうした痛みは、痛みのある場所とは別の場所に原因がある「関連痛(放散痛)」として現れることがあります。
例えば、心臓や胃、胆のうなどに問題がある場合、病気のある場所だけでなく、肩や背中などに痛みを感じることがあります。
胃・肝臓・膵臓・胆のうなどの炎症による関連痛
内臓に炎症などが起こると、その刺激が神経を通じて別の場所に痛みとして感じられることがあります。
胃や肝臓、膵臓、胆のうなどに炎症が起こると、病気のある場所だけでなく、肩や背中に痛みを感じる「関連痛」が現れることがあります。原因は臓器によって異なり、細菌感染や胆石、過度の飲酒、薬剤などが関係する場合があります。症状は腹痛や背中・肩の痛み、吐き気、食欲不振、発熱などさまざまです。検査では血液検査や超音波検査、CT、MRI、胃カメラ、腹部超音波検査尿検査、弁検査を行い、炎症や臓器の状態を確認します。治療は原因や病気に応じてた薬物療法や食事療法、必要に応じて処置や手術などを行います。予防には、脂っこい食事に気を付けたり、飲酒や喫煙に注意して、適度な運動を心がけることが大切です。 自己判断せずに医療機関へ相談しましょう。
胃潰瘍
胃潰瘍は、胃の粘膜が傷つき、深くえぐれたような状態になる病気です。主な原因は、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染や、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用などです。
またストレスや喫煙、飲酒が症状に影響することもあります。みぞおちの痛みや胃もたれ、吐き気、食欲不振などが代表的な症状ですが、胃の痛みが背中や肩などに感じられる「関連痛」が起こる場合もあります。治療では、胃酸の分泌を抑える薬などを使用し、ピロリ菌が原因の場合は除菌治療を行います。予防には、ピロリ菌の検査・除菌、薬の適切な使用、喫煙や過度な飲酒を控えることなどが大切です。肩こりに加えて胃の不調やみぞおちの痛みが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
胆石症
胆石症は、胆のうや胆管に「胆石」と呼ばれる石ができる病気です。胆汁中のコレステロールの増加や胆のうの働き、肥満、食生活、加齢などが原因となって起こります。検査は超音波検査では胆のう内の胆石や炎症の有無を確認し、血液検査では炎症や胆道・肝臓の異常を調べます。必要に応じてCTやMRIなどの画像検査を組み合わせ、胆石の場所や周囲の状態を詳しく確認します。 胆石があっても症状がない場合がありますが、胆石が詰まると、みぞおちから右上腹部にかけて強い痛みや吐き気などが現れることがあります。また、痛みが右肩や肩甲骨周辺、背中に広がる「関連痛」が起こる場合もあります。治療は症状に応じて経過観察や薬による治療、手術などを行います。予防には、バランスのよい食事や適度な運動を心がけ、肥満や急激な体重減少を避けることが大切です。
狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患
狭心症や心筋梗塞は、心臓に血液を送る冠動脈が狭くなったり、詰まったりすることで起こる病気です。主な原因には、動脈硬化や高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などがあります。代表的な症状は、胸の痛みや圧迫感、息苦しさ、冷や汗などで、痛みが左肩や腕、背中、首などに広がることもあります。検査では心電図や血液検査、心エコー、冠動脈CTなどを行い、状態に応じて薬物治療やカテーテル治療などが検討されます。予防には、バランスのよい食事や適度な運動、禁煙、血圧・血糖・コレステロールの管理が大切です。突然の強い胸痛や息苦しさなどがある場合は、救急車を呼ぶなど、速やかに医療機関を受診することが重要です。
腎結石・尿管結石
腎結石・尿管結石は、尿に含まれる成分が結晶化して石ができる病気です。水分不足や食生活、尿路感染症などが原因となるほか、体質や代謝異常などが関係する場合もあります。結石が尿管に移動すると、突然、脇腹や腰、背中に強い痛みが起こることがあり、関連痛として肩に痛みを感じることがあるようです。血尿や吐き気を伴う場合もあります。検査では、尿検査や血液検査、超音波検査、CTなどを行い、結石の大きさや場所を確認します。小さな結石は自然に排出されることもありますが、大きな結石や痛みが続く場合は、薬による治療や結石を砕く治療、内視鏡による治療などが検討されます。予防には、十分な水分をとり、バランスのよい食事を心がけることが大切です。
高血圧症
日本高血圧学会によると、高血圧症は、診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上とされています。が慢性的に高い状態が続く病気です。高血圧と呼ばれる数値は、診察室血圧では原因としては塩分のとりすぎ、肥満、運動不足、喫煙、過度な飲酒、ストレスなどの生活習慣が発症に関係します。高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がほとんどないことが特徴ですが、血圧が著しく上昇すると頭痛やめまい、動悸などが現れる場合があります。検査では血圧測定を行い、必要に応じて血液検査や尿検査などで合併症や原因を調べます。治療では、減塩や適度な運動、体重管理などの生活習慣改善に加え、必要に応じて降圧薬を使用します。予防には、日頃から血圧を測定し、バランスのよい食事や適度な運動を心がけることが大切です。
低血圧症
低血圧症は、血圧が低い状態が続き、日常生活に支障となる症状が現れる状態です。原因には、体質や脱水、貧血、薬の影響、自律神経の乱れなどがあります。主な症状は、立ちくらみやめまい、倦怠感、眠気、動悸などで、立ち上がったときに血圧が大きく下がる「起立性低血圧」がみられることもあります。検査では血圧測定や血液検査などを行い、低血圧の原因となる病気がないかを調べます。治療は原因に応じて行われ、水分や塩分の適切な摂取、生活習慣の見直し、必要に応じた薬物治療などが検討されます。予防には、十分な水分補給や規則正しい生活、急に立ち上がらないことなどが大切です。
低血圧は、高血圧のような明確な診断基準はありませんが、一般的には収縮期血圧(上の血圧)が100mmHg以下、拡張期血圧(下の血圧)が60mmHg以下の場合を低血圧の目安とすることがあります。ただし、血圧が低くても症状がなく、日常生活に支障がない場合は、必ずしも治療が必要とは限りません。めまいや立 立ち上がったときのめまいやふらつき、疲れやすさ、倦怠感などの症状が現れることがあります。人によっては首や肩のこりを感じる場合もありますが、低血圧そのものが肩こりの直接的な原因とは限りません。肩こりとともに、立ちくらみやめまい、体のだるさなどが続いている場合は、血圧を確認してみるのもよいでしょう。ただし、症状にはさまざまな原因が考えられるため、長期間続く場合は医療機関に相談することをおすすめします。
更年期障害
更年期障害は、女性だけでなく男性にも起こることがあります。女性では、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が大きく変化することで、ほてりや発汗、めまい、動悸、イライラ、不眠、疲れやすさなどの症状が現れ、肩こりや頭痛、腰痛などを伴うこともあります。一方、男性では、加齢などによる男性ホルモン(テストステロン)の低下が関係し、疲れやすい、やる気が出ない、イライラする、眠れないなどの症状が現れることがあります。診断では症状や年齢、ホルモンの状態などを確認し、必要に応じて血液検査を行います。治療は症状に応じてホルモン補充療法や漢方薬などが選択されます。また更年期に似た症状があっても、必ずしも更年期障害とは限りません。甲状腺の病気など、ほかの病気が原因となっている場合もあるため、症状が長く続く場合は医療機関で相談しましょう。
眼精疲労
眼精疲労は、目を使う作業を続けることで、目の疲れや痛みなどが生じ、休んでも症状が十分に改善しにくい状態です。長時間のパソコンやスマートフォンの使用、目に合わない眼鏡やコンタクトレンズ、ドライアイ、目の病気などが原因となることがあります。主な症状は、目のかすみや乾燥、充血、目の痛み、頭痛などです。また、目への負担がかかる作業を続けることで、首や肩の筋肉が緊張し、首や肩こりにつながる場合があります。検査では視力や眼圧、目の状態などを確認し、原因に応じた治療を行います。予防には、長時間の画面作業を避けて適度に休憩し、遠くを見るなどして目を休ませることが大切です。症状が長く続く場合は、眼科を受診しましょう。
脳梗塞
脳梗塞は、脳の血管が血栓などによって詰まり、脳の一部に血液が届かなくなる病気です。主な原因には、動脈硬化、高血圧、糖尿病、脂質異常症、不整脈、脂質異常症、心房細動などがあります。また、喫煙、肥満、運動不足、過度な飲酒、加齢なども発症リスクを高める要因です。 また脱水症状の時は、血栓ができやすい状態になるのでリスク要因と考えられています。
突然、片側の手足や顔に力が入りにくくなる、ろれつが回らない、言葉が出にくい、ふらつく、視野が欠けるなどの症状が現れることがあります。首や肩に違和感を感じる場合もありますが、肩こりだけを脳梗塞の症状と判断することはできません。検査では、CTやMRI、血液検査などを行い、状態に応じて血栓を溶かす治療や血管を広げる治療などが行われます。予防には、血圧・血糖・コレステロールの管理、禁煙、適度な運動、バランスのよい食事などが大切です。突然の症状が現れた場合は、すぐに救急車を呼ぶことが重要です。
肩腱板断裂
肩腱板断裂は、肩の関節を安定させ、腕を動かす働きをする腱板が傷ついたり、切れたりする病気です。主な原因には、加齢による腱の変化や、転倒・重い物を持つなどの強い負荷、肩を繰り返し使う動作などがあります。症状として、肩の痛みや腕が上がりにくい、力が入りにくいなどの症状が現れ、夜間に痛みが強くなることもあります。検査では、診察や肩の動きを確認するほか、MRIや超音波検査などで腱板の状態を調べます。治療は、症状に応じて安静や薬物療法、リハビリテーションなどを行い、断裂の程度によっては手術を検討します。予防には、肩に負担がかかる動作を繰り返し行わないことや、適度な運動で肩周辺の筋肉を維持することが大切です。
石灰沈着性腱板炎
石灰沈着性腱板炎は、肩の腱板にカルシウムが沈着し、炎症が起こることで強い肩の痛みが生じる病気です。原因ははっきりと分かっていませんが、40~50歳代に多くみられます。突然、肩に強い痛みが起こり、腕を動かしにくくなったり、夜間に痛みが強くなったりすることがあります。検査では、レントゲン検査や超音波検査などで腱板に沈着した石灰を確認します。治療では、痛み止めや炎症を抑える薬、注射などによって症状を改善します。症状が強い場合や改善しない場合には、石灰を取り除く治療や手術を検討することもあります。予防法は明確ではありませんが、肩に過度な負担をかけないことや、肩の状態に合わせて適度に体を動かすことが大切です。 整形外科で受診しましょう。
関節リウマチ
関節リウマチは、免疫の異常によって関節に炎症が起こり、痛みや腫れなどが生じる病気です。原因ははっきりと分かっていませんが、遺伝的な要因や喫煙など、さまざまな要因が関係すると考えられています。手や指の関節に症状が現れることが多く、肩や肘、膝などにも痛みや腫れが起こる場合があります。また、朝の起床時に関節がこわばる「朝のこわばり」が特徴の一つです。検査では、血液検査や画像検査などを行い、症状と合わせて診断します。治療では、抗リウマチ薬や生物学的製剤などを用いて炎症を抑え、関節の変形や機能低下を防ぎます。明確な予防法はありませんが、禁煙や適度な運動、バランスのよい食事などを心がけ、早期に医療機関を受診することが大切です。
顎関節症
顎関節症は、あごの関節や周囲の筋肉に負担がかかり、痛みや口の開けにくさなどが起こる病気です。原因には、歯ぎしりや食いしばり、かみ合わせ、ストレス、あごへの過度な負担などが関係しています。主な症状は、あごを動かしたときの痛みや「カクカク」「パキッ」といった音、口が開けにくいなどです。また、あご周辺の筋肉に負担がかかることで、首や肩の筋肉が緊張し、肩こりや頭痛につながる場合もあります。検査では、あごの動きや痛みの状態を確認し、必要に応じてレントゲンやMRIなどの画像検査を行います。治療では、あごを休ませる、食いしばりを減らす、マウスピースを使用するなど、症状に応じた治療を行います。予防には、歯ぎしりや食いしばりを意識して減らし、あごに負担をかけすぎないことが大切です。
咬合不全
咬合不全とは、上下の歯のかみ合わせが適切でない状態を指します。原因には、歯並びや歯の形、歯を失ったこと、詰め物や被せ物の影響、歯ぎしりや食いしばりなどが関係する場合があります。かみ合わせが悪いと、食べ物をかみにくい、あごが疲れやすい、あごの痛みや違和感などが現れることがあります。また、あご周辺の筋肉に負担がかかることで、首や肩の筋肉が緊張し、肩こりにつながる場合もあります。検査では、歯の状態やかみ合わせ、あごの動きなどを確認し、必要に応じてレントゲンなどの画像検査を行います。治療は原因や症状に応じて、歯の治療やかみ合わせの調整、マウスピースの使用などを検討します。予防には、歯を大切にするとともに、歯ぎしりや食いしばりなど、あごに負担をかける習慣を見直すことが大切です。
内耳性めまい
内耳性めまいは、耳の奥にある「内耳」の異常によって起こるめまいの総称です。代表的な病気には、メニエール病や良性発作性頭位めまい症などがあります。原因は病気によって異なりますが、内耳にある平衡感覚をつかさどる器官の異常などが関係しています。主な症状は、周囲がぐるぐる回るようなめまいやふらつき、吐き気などで、病気によっては耳鳴りや難聴を伴うこともあります。また、めまいによって体のバランスを保とうとすると、首や肩に力が入り、肩こりや首のこりにつながる場合があります。検査では、聴力検査や眼振検査、平衡機能検査などを行い、必要に応じて画像検査も行います。治療は原因となる病気に応じて、薬物療法や運動療法などを行います。予防には、十分な睡眠や規則正しい生活を心がけ、症状が繰り返す場合は早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
まとめ
肩こりは、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、姿勢の悪さなど、筋肉への負担によって起こることが多い症状です。しかし、胃潰瘍や胆石症、心臓の病気などの内臓疾患が原因で、肩や背中に痛みを感じる「関連痛」が起こる場合もあります。また、関節リウマチや顎関節症、咬合不全、眼精疲労、内耳性めまいなど、肩や首に負担がかかることで肩こりにつながる病気もあります。

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